不条理な恋 理不尽な愛 (ベリカ版)【完】
8
…虚偽
その夜、私は大希さんに病院に行ったことを報告した。
「重大な病気じゃないって?」
「うん。病気ではないって」
「そうか。とりあえず大したことはないんだな」
「うん」
そう、私は嘘はついていない。妊娠は病気じゃない。
それに伴った症状は出ている。
この身体でオーバーワーク気味なのも事実だろう。
でも、全ての事実をありのまま告げる勇気は
その時にはまだなかった。
「大したことがないだけで、万全なわけじゃない。
瑞希も心配してるし、早く元気にならなきゃな。
それに、この体調じゃそっちの治療するかどうか話し合う土俵にすら
乗れる状態じゃないじゃないか」
大希さんは苦笑いしながら、私にそう告げた。
「治療?話し合い?」
私は、大希さんが今、この場でその話を持ち出すことが
何でなのかよくわからなかった。
「不妊治療だ。どうせ諦めてなんかいるわけないんだろう…
どうせ、お前の事だ。
また、やりたいって話になるだろうよ…
結局いつかは俺を説得してしまうんだから。
それが説得なのか、誘惑になるのかは…
微妙なんだろうけどな」
にたっと口角を上げ、艶っぽい瞳に微笑みを浮かべてこちらを見る。
「重大な病気じゃないって?」
「うん。病気ではないって」
「そうか。とりあえず大したことはないんだな」
「うん」
そう、私は嘘はついていない。妊娠は病気じゃない。
それに伴った症状は出ている。
この身体でオーバーワーク気味なのも事実だろう。
でも、全ての事実をありのまま告げる勇気は
その時にはまだなかった。
「大したことがないだけで、万全なわけじゃない。
瑞希も心配してるし、早く元気にならなきゃな。
それに、この体調じゃそっちの治療するかどうか話し合う土俵にすら
乗れる状態じゃないじゃないか」
大希さんは苦笑いしながら、私にそう告げた。
「治療?話し合い?」
私は、大希さんが今、この場でその話を持ち出すことが
何でなのかよくわからなかった。
「不妊治療だ。どうせ諦めてなんかいるわけないんだろう…
どうせ、お前の事だ。
また、やりたいって話になるだろうよ…
結局いつかは俺を説得してしまうんだから。
それが説得なのか、誘惑になるのかは…
微妙なんだろうけどな」
にたっと口角を上げ、艶っぽい瞳に微笑みを浮かべてこちらを見る。