不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
「諦められるわけないでしょ。

大希さんは一人っ子で、寂しい思いをしたんでしょ。

そんな話を聞いたら、せめて瑞希に兄弟をと思うのは当然でしょう」

「でもそのために、またほのかがあんな目に合わないといけないのか?」

大希さんは、さっきとは打って変わって底のしれない暗い目で私を見つめる。

「もう一度あれに耐えられるのか?耐えたからって…

どうだ?必ず結果が得られるわけじゃない。

もうこれ以上ほのかのもがき苦しむ姿を見たくない。

俺は…

わがままなんだろうが、もうあんなほのかを2度とは見たくないんだ」


「大希さん…」

彼の言っていることはおそらく正しい。

あれに、不妊治療に精神的肉体的に何度も耐えきる自信はあまりない。

でもやるしかない。そう瑞希のため…

そして、私のため。

諦めることはおしまいを意味する。

おしまいにだけはしたくない。

安易におしまいになんてしてしまいたくない。

だから私は突き進んでしまう…

そう、後先も考えず見境もなく。

「ほのか。瑞希に兄弟が欲しいならお前が産んでやるのが

お前の言うとおりベストかもしれない。

でもそれしか方法がないわけじゃないだろう?

他にも選択肢はある」
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