不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
いつもの慣れた仕事なので、考え事をしながらでもそれなりにはこなせたが、

何度もミスもしてしまい、必要以上に処理するのに時間がかかった。

10時には家に着きたかったのに、結局会社を出たのが10時だった。


帰りの道すがらも俺は、車のハンドルを握りながら、

今日出来事をどう捉えたらいいのか考えあぐねていた。

ほのかを抱きしめた時の、

あいつのあのメッセージも意味が分からず謎のままだった。

ほのかがおかしくなったのはそう、あの出張から帰ってからだ。

あの出張の後にあの夢も1度は確実に見ているし…

そのあたりを探るしか、この絡んだ糸をほぐす方法は見つからないのだろうか?


あんなに頑なだったほのか…

俺が聞いたくらいで正直に全てを答えてくれるだろうか…

それでももう心の中を無理矢理こじ開けるようなことはしたくない。

それは結局穂香を信じ切っていない自分の弱さをさらけ出すことになるから…

結婚してからというもの、先日の夢を読むまで、俺はほのかの…

いや他人の心を読むのをやめたが、ほのかが何を考えているのかは

大体の事はわかっているつもりだったし、それで別段不便を感じることはなかった。

それなのに、この頃よくわからない…

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