不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
眞人がいなくなって、私は彼を何年も何年も探し続けた。

でも何年探しても彼にたどりつくことは…

決してなかった。

結局彼は、その後…

失踪宣告を受けた。


彼を探していたその時期に、手紙の悪夢を見ることになり、

それに蝕まれながら何とか働いていた時、

私は会社でのあることが発端で、一時期外界に出ることもままならなくなった。

探していた時も、外界に出れなくなった時も、大希さんは私のそばにいてくれた。



大希さんの好意には気づいていたが、見ないふりをしていた。

どんな時も、私がどんなにひどい姿の時も見捨てなかったし、付け込まなかった。

もうあの時のあんな感情には二度と脅かされたくない。今の安心感を手放したくない。


その反面…

私の心の奥底には、そこまでして堕されて味わった辛い思いを昇華したい。

その時の満たされなかったものを満たしたい。

届かなかったものをいまでも手に入れたいと思う自分が…

まだここにいる。


大希さんにこれだけの事をしてもらっているのに、私の中、

その中心には眞人がまだドンと鎮座している。

私はわがままで、自己中心的だ。20年以上たった今でも心の奥底では、

その二つの気持ちの間でずっと、揺れ動いていた。
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