不条理な恋 理不尽な愛 （ベリカ版）【完】

「出張に行って起こった何かがきっかけで、あれが始まって、

もしかしたら続いているのかもと思って…」

大希さんはそんなふうに思っていたんだ。

私はただ、首を横に振るしかなかった。これ以上心配をかけたくなかった。

違うよね…

たぶんそれは関係ないと思うけど…

でも元々何が原因であれを見はじめたのかわからないんだから、

何の確証もない。


そんなもの想いに囚われていると、大希さんは人差し指で私の頬にゆっくりと触れた。

涙？私の頬にはあの頃のように止まらない涙がつたい続けていた。

やっぱり…

この話題は避けた方がいいのかもしれない。


「…たまになら、見ても大丈夫だと思うよ」

そんな言葉はなんのあてにならなくても、事実になればいいのにと

祈りを込めて声にしてみる。

「何度なっても、おかしくなりそうになっても、

大希さんとなら乗り越えられるんだよね？

この前の時、そう言ってくれてうれしかった。私はそう信じてるから…」



「…そうか。そうだよな」

「何度なっても…

何度でも一緒に越えよう」

大希さんは少し切なさの混じった優しいまなざしで私を包みながら、

ぼそりと言葉を発した。