不条理な恋 理不尽な愛 (ベリカ版)【完】
人通りの少ない道を、目的地に向かう。
もうすぐで駅だ。私は視界に入った駅ビルの建物に気を取られていた。
ドン。
誰かにぶつかり相手が持っていた荷物を道にばらまく。
「急いでいるので…
ごめんなさいね」
そう言って相手に詫びようと視線を合わせて私は目を見開いた…
「…」
相手の男も拾っていた荷物を持ったまま、こちらをじっと強い視線で見つめている。
私達はお互いにしばらく見つめ合っていた。
「ほぉちゃん?」
その呼び名を聞いた私は、凍りついた。
そして足に力が入らなくなりその場にへなへなと崩れ落ちる。
彼はその名を呼んだだけで、また散らばった荷物を拾い始める。私のように動揺はない。
全ての持ち物を拾い上げ袋に詰めると、
「ほぉちゃんだよね?ひさしぶり。元気にしてた?」
両手に紙袋を下げ、屈託のない笑顔で近づいてきてこともなげに私に尋ねてくる。
「本当に?」
驚く私の両手を取り、引っぱって立ち上がらせてくれた。
私は足が震えて、立っているのがやっとだった。信じられない現実に頭が回らない。
あの頃と変わらない屈託のない笑顔。右頬にあるエクボ。
そう思った瞬間に私の目の前は、気持ちと同様に歪んでぐちゃぐちゃになった。
もうすぐで駅だ。私は視界に入った駅ビルの建物に気を取られていた。
ドン。
誰かにぶつかり相手が持っていた荷物を道にばらまく。
「急いでいるので…
ごめんなさいね」
そう言って相手に詫びようと視線を合わせて私は目を見開いた…
「…」
相手の男も拾っていた荷物を持ったまま、こちらをじっと強い視線で見つめている。
私達はお互いにしばらく見つめ合っていた。
「ほぉちゃん?」
その呼び名を聞いた私は、凍りついた。
そして足に力が入らなくなりその場にへなへなと崩れ落ちる。
彼はその名を呼んだだけで、また散らばった荷物を拾い始める。私のように動揺はない。
全ての持ち物を拾い上げ袋に詰めると、
「ほぉちゃんだよね?ひさしぶり。元気にしてた?」
両手に紙袋を下げ、屈託のない笑顔で近づいてきてこともなげに私に尋ねてくる。
「本当に?」
驚く私の両手を取り、引っぱって立ち上がらせてくれた。
私は足が震えて、立っているのがやっとだった。信じられない現実に頭が回らない。
あの頃と変わらない屈託のない笑顔。右頬にあるエクボ。
そう思った瞬間に私の目の前は、気持ちと同様に歪んでぐちゃぐちゃになった。