不条理な恋 理不尽な愛 (ベリカ版)【完】
しばらくして、予定通り産声が聞こえた。それからもうじばらくすると
「佐々木さんおめでとうございます。中へどうぞ…」
分娩室から呼ばれ、俺は瑞希を連れて入る。
助産師の腕に抱かれて、生まれたばかりの赤子がこちらにやってきた。
「お父さ~ん。男のお子さんですよ」
そう言いながら俺の方に赤子を渡され、
久々の事におっかなびっくりになりながら受け取る。
抱く腕にかかる重み。瑞希もこんなに重かったか?と思い返す。
「お兄ちゃん、弟くんだよ」
助産師は瑞希に向かってやさしく微笑んだ。
俺はその場にしゃがんで弟の顔を瑞希にも見せた。
瑞希は最初、実感がないようで呆然としていたが、
自分の目の前にある白い包みにくるまれた小さい赤子があくびをすると、
丸い目をより大きく見開いて
「おにいちゃんだよ。よろしくね。赤ちゃん」
といって、その大きく開いた口元を指でつついた。
俺の腕のなかにある小さな命…
そして、隣に寄り添う幼い命…
この二人は、ほのかのお腹の中にいて、それを産みだす為に命を懸ける…
女という生き物はすごいなとただただ感嘆する。
産まれたのは…
皮肉なことにあいつの声の言った通り男の子だった。
「佐々木さんおめでとうございます。中へどうぞ…」
分娩室から呼ばれ、俺は瑞希を連れて入る。
助産師の腕に抱かれて、生まれたばかりの赤子がこちらにやってきた。
「お父さ~ん。男のお子さんですよ」
そう言いながら俺の方に赤子を渡され、
久々の事におっかなびっくりになりながら受け取る。
抱く腕にかかる重み。瑞希もこんなに重かったか?と思い返す。
「お兄ちゃん、弟くんだよ」
助産師は瑞希に向かってやさしく微笑んだ。
俺はその場にしゃがんで弟の顔を瑞希にも見せた。
瑞希は最初、実感がないようで呆然としていたが、
自分の目の前にある白い包みにくるまれた小さい赤子があくびをすると、
丸い目をより大きく見開いて
「おにいちゃんだよ。よろしくね。赤ちゃん」
といって、その大きく開いた口元を指でつついた。
俺の腕のなかにある小さな命…
そして、隣に寄り添う幼い命…
この二人は、ほのかのお腹の中にいて、それを産みだす為に命を懸ける…
女という生き物はすごいなとただただ感嘆する。
産まれたのは…
皮肉なことにあいつの声の言った通り男の子だった。