消えた同級生【玩具の女編】
物心ついたときから、俺には父親なんていなかった。
いつもびくびくした綺麗な母親と二人で、街を転々と暮らしていた。
母親が俺を産み、全ての事が終わった後、新生児室で看護婦から俺を渡された時、外は強烈な夕焼けでその赤い色から緋色と名付けたといつか聞いた。
今思えば母親は、何かすごい資格を持っていて、どこに行っても必ず就職していたから、貧乏ではなかった。
小学5年生の時、なんだかっていう病気で母が入院することになったが、呆気なく半年で死んでしまった。
優しくて美人だったが、何かに怯えていた、そんな母だった。
母親の妹である叔母さんが、入院からいつも居てくれた。叔母さんも優しかったけど、でかい旅館に嫁ぎ、若女将になってしまったために俺を引き取ることが出来ないと泣いて謝られた。
本当は何度も何度も女将に頼み込んで、泣いている姿を見ていた…仕方がない事だ
俺は叔母さんに連れられて初めて父親に会った
俺の元凶である、あの父親に…