消えた同級生【玩具の女編】
それでもこっそり部屋に温かい夜食を持って来てくれるのは、鈴バアという家政婦長だ。

鈴バアは俺にとって祖母の様な存在だった…

あの家で唯一の救いだった



中学に上がる年、父は俺にマンションを買った。家政婦をつけてくれ、突然自由の身になった…

厄介払いだったかもしれないが、あんな家よりずっとマシだ!

何より嬉しかったのは、俺についた家政婦は鈴バアだったことだ。

鈴バアは朝に来て朝ごはんを作り、弁当を持たせてくれ、片付けなんかをして家に帰り、俺が学校から帰る頃、家で作った夕飯を持ってきてくれて、二人で食べた。

幸せな時間

鈴バアの旦那さんは長く入院しているそうで、日中お見舞いに行けるから助かるわ、と優しい笑顔で俺に笑いかける。

助かってるのは俺の方なのに…

優しい人間と過ごすことで、俺の歪んだ時間が修復を始める

俺も穏やかになっていく


初めて手に入れた落ち着く自分の場所、優しく包んでくれる家族、俺は幸せなんだと実感していた。



そして出会った。俺の人生を狂わす、二人の人間に…
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