消えた同級生【玩具の女編】
「家族?」

「俺達、家族に恵まれてなくて。だから子供が出来れば結婚できると…」

「子供が出来ても、君が18歳になるまでは結婚できないよ。それに家族というのは子供で繋がるものじゃないよ…」

「…じゃあなんですか?」

「僕から見れば君達は十分家族に見えますよ。家族は心で繋がるんです。」

「いえ、俺達は…少なくとも蒼湖は思ってないです。」

「いえ、そんな事はありませんでしたよ。彼女は流産してしまいましたが、妊娠に対する姿勢は前向きでした。妊娠した女性が悩む事を僕にぶつけてきましたよ。普通の妊婦さんと同じ様に…あなたの事も、赤ちゃんの事も大切に思い、真剣に考えている証拠です。」

優しい笑顔に俺の心が温かくなる…

「二週間、セックスは禁止です。避妊も自ら行うように!18歳まで我慢しましょう!!はい、以上」

最後に釘を刺されて俺はそそくさと待合室を出た。

受付前の椅子で蒼湖が待っていた。

会計を済ませても、俺はあの医者に言われた色んな事が頭を廻っていた。

でも何より、蒼湖を失いたくない
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