消えた同級生【玩具の女編】
「私、一度も会ったことないから、よく知らないんですよね。」

「そうか、そうだったね。お、ちょっと待ってくれるか？おーい、杉村君！」

担任教師は遠くにいる、ジャージを着た若めの教師を呼んだ。

呼ばれた教師は振り向きざま一瞬驚いた表情を見せ、足早に近づいて来た。

「どうしたんですか？」

「上野君、杉村先生は彼女の担任だったんだよ」

杉村は恐る恐る上野と呼ばれた女生徒をみた。

「そうですか、その節は妹がお世話になりました」

少女が頭を下げた

「あ、いや、こちらこそ何も出来なくて申し訳なかった。もっと気付いてあげられたら、あんな事件は起きなかったかもしれないのに…」

杉村も頭を下げる

頭をあげると彼女は優しく微笑んでいた。

「先生のせいじゃないですよ。きっと誰も悪くないんです」

そこにちょうど予鈴のチャイムがなった。教師達がざわざわと席を立ち、職員室を出ていく

「さて、じゃあ、教室にいこうか」

「はーい！」

彼女が足元に置いていた荷物を取り、担任の後をついて出ていった。




彼女の去った職員室は、彼女の話題で騒然となった。
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