消えた同級生【玩具の女編】
突然俺は何かに起こされたかのように目が覚め、寝ぼけたまま風呂場に向かった

俺はその一瞬で脳みそが覚醒した

「何やってるんだ蒼湖!!」

俺が見たのは蒼湖が服のままシャワーを浴びながら床に倒れ、左手首からは真っ赤な血が流れ、床一面が赤に染まった風呂場だった。

俺は慌ててタオルを持ち、シャワーを止めて手首にタオルを巻き、携帯で急いで救急車を呼んだ。

「蒼湖!蒼湖!!」

俺は固く目を閉じた蒼湖を何度も呼んだ。

睫毛が少し震えて、ゆっくり蒼湖が目を開ける。

「…どうして止めるの?」

「なんで、何でこんな事…」

俺は涙が溢れて言葉がうまく出せないでいた。

「…これ以上…妄想の中であなたを殺したくない…」

「…え?」

「頭の中で、何度もあなたを殺してしまった…あまりに考えすぎて、あなたを殺すところだった…現実に…」

「だったら、殺せば良かったんだ…そんなに憎まれるなら…俺が死ねば良かったんだ!」

蒼湖が静かに首を降った。

「生きて…」

「…」

「お願い…これ以上苦しめないで…私を解放して…」

「…ああ、もう自由だよ…解放してあげるから…」
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