消えた同級生【玩具の女編】
「お母様ですか?」

「娘は一体…」

「出血は止まりましたが、大変危険な状態です。」

「…え?」

「このまま意識が戻らない可能性が非常に高いです。」

「…え?」

「その事は覚悟してください」

…意識が戻らない?

母親は立ち尽くしたまま固まってしまった。

俺達はまるで一瞬で凍らされてしまったマンモスのようにしばらく動けなかった。

「意識が戻らないって、このまま?話すことも出来ず?このままなの?」

母親の目から涙が溢れた。

「もう話したり、笑ったりできないの?」

「起きて、歩いて…座って…そういうことも出来ないの?」

面会謝絶の札をゆっくり見つめた。

「本当にすみませんでした…」

俺が傍にいたのに…

「寒河江緋色君…ちょっといいかな?」

俺達が振り向くとそこにはスーツを来た男の人がいた。

「少し話を聞きたいので一緒に来てくれるかい?」

俺は頷き、オッサンの後について歩いた。

車に乗って初めて警察署に入り、俺は小さな部屋で今までの事をすべて話した。
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