消えた同級生【玩具の女編】
「それで彼女は手首を切ったんだね?」
「はい…」
「それは立派な犯罪だってわかってる?」
「はい…」
「飯島さん、少し休ませてあげましょう…彼、一晩寝てないんだ…」
俺を連れて来たオッサンは優しくて、俺を小さな個室に連れていってくれた。
「今日はもう休みなさい…こんな所で悪いけど君も疲れてるんだし…」
「刑事さん…俺、何年償えばいいかな…何年頑張れば蒼湖は許してくれるんだろう…」
「…今は何も考えずゆっくり休みなさい…」
オッサンが静かに鍵をかけて出て行った。
眠れる訳無い…
俺は蒼湖の事が気になって仕方がなかった。
蒼湖が死んだらどうしよう…
そんな不安にばかり駆られて、結局一睡も出来なかった。
翌朝、係の人に言われて俺は何回も尿検査をさせられた。
ここでのルールなのかはわからない…
やがてまた取調室に連れていかれ、また何かを話さなければならないと覚悟を決めた時、昨日の刑事が意外な事を言った。
「釈放だ。帰っていいぞ」