消えた同級生【玩具の女編】
顔色を変えなかった寒河江が、メンチ切ってる太門さんの顔を不思議そうに見始めたのだ…

それに気付いた太門さんがマズイような表情を一瞬見せ、寒河江から離れた…

な、何で?二人は知り合いなの?

「こらこら、そこ…って、お前か上野!いい年してまた騒いでるのか!」

担任がやってきた。


「あ、尾賀ちゃん!久しぶり〜!」

「上野…お前は相変わらずだな!」

「先生、俺の学年トップの記録、まだ残ってる?」

「ん?ああ、あれなら、この寒河江がさっさと抜いたぞ。お前は前半サボり過ぎたからな!」

私だけじゃなくクラス中がア然とした。

ホントにあったんだ…

「そんな事よりさっさと職員室に行け!教頭が待ってるぞ!」

「ヘイヘイ…んじゃ碧依、またな!」

……………まるで台風だ…

担任は大きなため息をつく。

「お前ら、あんな大人になるなよ」

先生の一言で空気が少し緩んだ。

あれが保護者だなんて超情けない…

私は寒河江をちらっと見たが、寒河江はなんも反応しなかった…




本当にゴメン…寒河江
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