消えた同級生【玩具の女編】
「カッコイイ!氷の王子!」

「………」

そう、それは淑ちゃんの憧れの人。

一つ年上の先輩で、それはそれは、テレビに出て来るアイドルのような綺麗で細い人。

髪はさらさらだし、スタイルも良い…でも私には好きになれそうにない!

女みたいで魅力が感じられない。

それに自分より綺麗ってどうなの?

そして硬派な為に告白しては散っていく女の子達…

だから氷の王子

同じイケメンなら、アイドル風じゃなくて俳優風な寒河江の方がよっぽどカッコイイっつーの。

背が高いし、ガッシリしてるしね

…って…あれ?何で寒河江?

私が?マークを頭に付けていると、淑ちゃんが話しかけてきた。

「私、一年早く生まれたかった!そうしたら同じクラスだったのに〜!」

「頭もいいんだ…」

ふーん…

私が王子を黙ってみていると、ふとこちらを見たような気がした。

「こっち見た?こっち見た?」

「ま、まさか…」

たまたま辺りを見回しただけだよ、と言おうと思ったけど、淑ちゃんの目があまりにもハートマークなので止めた。

それからは淑ちゃんの追っかけが始まり、先生の話どころじゃなくなった…
< 169 / 369 >

この作品をシェア

pagetop