消えた同級生【玩具の女編】
「上野さん」

私が職員室に呼ばれ、教室に帰ろうとした時、突然誰かに呼ばれた。

そこには眼鏡をかけた優しそうな男子生徒がいた。

「何か?」

「はじめまして、隣のクラスの山谷です。」


「山谷…」

どっかで聞いた様な…

あ、蒼湖に告ろうとした人?

「どうも…」

眼鏡越しに優しい笑顔が覗いている

「蒼湖さんとは、二年の時仲良くさせてもらって…」

「蒼湖と?」

…そうか…もし寒河江の事が無ければ付き合っていたかもしれない相手だった…

まあ、蒼湖がどう思っていたかはわからないけど

「とても優しくて、おっとりしていた人でした。一度あなたと話してみたかった。」

「蒼湖の事、好きだったんですか?」

「…はい。でもトンビに油揚げで…知らない間に違う人の彼女になってて…」

彼は苦笑いを浮かべた。

「そうですか…」

「もっと引き止めれば、あんなに傷付けられることもなかったかもしれないと思うと…悔しくて」

「それは…」

…寒河江だって傷付いてる…
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