消えた同級生【玩具の女編】
上野の黒目が途端に動きだし、跳び起きてむせ始めた。

「上野!」

「寒河江…ゲホッ…ゲホッ…」

「悪い!死んだかと思って慌てて水かけちまった…」

「ええ!もっとマシな方法あるでしょ!ゲホッ、ゲホッ…」

「悪い…」

俺は上野の背中を摩りながら思い出していた。

あの上野の状態…昔、身近な人間で見たことがある。
ただ一人…

上野、一体誰に…

「どうした!?」

担任やら数人の教師が、さっきの悲鳴で飛んできた。

「山谷がコイツの事を襲ってて、俺がオトしました。上野は気絶してたので水をぶっかけました。」

「寒河江…」

「ちなみに未遂です。」

「よくやった…よくやったが、お前は無茶ばかりだなぁ」

担任が上野にジャージの上をかける。

上野は慌ててボタンを閉めた。

「先生、そいつ渡瀬みたいな感じだから、縛った方がいいよ…」

「何!?」

先生達の顔が一瞬で強張った。

何だ?この雰囲気…

上野を見ると、上野は俯いていた…
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