消えた同級生【玩具の女編】
「寒河江…」
「忘れてるならそれでいいんだ…お前はそうやって心のバランスを取ってるんだから。お前もこれから気をつけろよ!今日みたいな事があったら、まんまとヤられるぞ!」
「うん、気をつける…ありがとう…」
上野は優しく微笑んだ
「今お茶いれるから…」
「あ、ありがとう」
俺は立ち上がった時ふと上野の首を見てしまった。
俺の好きな、蒼湖のうなじの下にあるほくろ…
…俺は自分の行動に馬鹿馬鹿しさを感じ、ため息をついた
あるわけがない…
別人なんだ…生き返るわけがない、俺の前に現れるわけがない…
別人なんだ
俺は蒼湖が好きだった紅茶をいれ、上野に出した。
俺は蒼湖でしか女が好きそうな物なんか知らないし、蒼湖の物しか置いてないから…
「…おいしい…」
「そうか…」
「うん…」
「ところで、お前の話って、何だったわけ?」
「話…」
上野はゆっくりお茶を飲んでいたが、突然大事な事を思い出したみたいで、ビクッと肩を上げた
その時紅茶をおもいっきり飲み込みむせていた。