消えた同級生【玩具の女編】
「お父さんは…忙しいから、海外行ったりとか、県外行ったりとか…」

「じゃあ父親がわりか…」

「そう…家族…」

「蒼湖は誰もいなかったけど、お前にはあの人がいるんだな…」

「うん…太門さん、ああだから、寂しくないし…」

「あの人、歳いくつ?」

「……確か、30代半ば…」

「はあ!?嘘だろ?20代じゃねーの!?」

「確かに若く見えるけど三十路は確実に越えてるよ!」

「怖えー、じゃあ尾賀とは20年近くの付き合いか…」

「先生…若い時に散々苦労させられたのよ…」

二人でそんな話をしながら帰った。








翌日の放課後は社会科室で二人、先生のノートを読みあさった…

でも…書いてることは日常的な事だけだった…

「落飾の天子って…誰だろう?」

「どれを読んでもわかんねー、きっとわからないようにしてるんだ…」

蒼湖と寒河江ばかりが話題に上がる。

そして、たまにだけ登場する天子…

最期の日には何も書いていない…

その前の日は…慰めている…僧侶が富士の君を…

僧侶は若き北嵯峨の貴族と富士の君を応援しようとしていた…

僧侶には……想う人がいたから……
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