消えた同級生【玩具の女編】
「もしもし?」

「もしもし…どうした?」

優しい声が受話器から聞こえる

そんな低く優しい声が、私を無性に安心させる…

「突然電話してごめん…」

「気にすんな…なんかあったのか?」

「…なんかどうしていいかわからなくて、飛び出して来たら、道がわからなくなって…
寒河江の家がわからなくて…」

「今どこ?」

「なんか、スーパー…?」

「わかった!今から行くから、動くなよ!」

「ごめん…」

5分くらいして、寒河江が走って来るのが見えた。

「どうした?」

「太門さんが…私に嘘を…」

「…なんかわかんないけど、家来いよ…」

「ごめん…」






寒河江の家に入ると、まだ部屋はひんやりしていて、寒河江が読みかけていた本が床に置いてあった。

「どうぞ」

「どうも…」

私が座ると、寒河江が冷たいお茶をいれてくれた。

「で、アイツが何だって?」

「太門さん、私に嘘をついているの…その嘘は…私達を…私達の関係を壊してしまうほどの威力があって…」

「うん…」
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