消えた同級生【玩具の女編】
「ああ、だろうな…」

私は寒河江の顔を見つめた。

寒河江は何かを考え込んでいる

「あの薬…」

「ん?」

「欲望を見せる薬だって聞いた。理性を殺して、欲望のみの人間になる」

「そう」

「先生は死にたかった?」

「多分…」

「それを園田が知ってたと?」

「私もそこに行き着いた…」

私は少しホッとしている

寒河江は私の隠し事を責めなかった…

本当はどう思ったんだろう?

それなのに、私の問いに真剣に応えてくれている

「それに、いくら好きでも、殺さねーんじゃねーか?」

「じゃあ、絶対手に入らない人だったら、寒河江はどうする?」

「そんなの決まってる!どんな手を使っても手に入れる」

「それが殺人なら?」

「俺なら本人は殺さない!」

「ふーん…」

私は背もたれに寄り掛かって天井を見た。

好きになってはいけない相手…それゆえに恋愛出来る相手を許せなかった…

だから殺す…
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