消えた同級生【玩具の女編】
寒河江の手がブラウスに入ってきたとき、私は思わず身体を強張らせてしまった。

「怖いか?」

寒河江がゆっくり唇を離して、心配そうな声を出す。

「ううん…違うの…」

「…やっぱりやめるか?」

「え?ううん、やめたくない…あ、私じゃやっぱりダメ?あんまりいい身体じゃないし…」

プッと寒河江が吹き出した。

「誰もそんな事言ってねぇだろ!」

「私…汚れてるから?」

私が心配な声を出した時、寒河江の顔は真顔になった。

「お前は汚れてなんかない。誰に何かされたって、お前はお前だろ?そういう考えはやめろ。俺がやめようか聞いたのは、俺の問題だ…」

「寒河江の?」

「今なら引き返せる…でもお前を抱いたら、俺は引き返せない。お前が俺の大事な人になる。そしたらもう失えない…失えない人間を作るのが怖い…」

「私が死ぬと思う?」

「この世に絶対なんてない。現に俺は一人、いや二人失った…」
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