消えた同級生【玩具の女編】
そんな風に不思議に思ったけど、私は何も知らなかったから、その時は深く考えなかった。








「碧依!」

「うん?」

「じゃあ、先に行ってて待ってて!」

「何かあるの?」

「………」

寒河江が寂しそうな、悲しそうな笑顔を一瞬見せて、私の頭をクシャクシャにする。

「行ったら話すよ…」

「うん!わかった」

「じゃ、後で」

寒河江の悲しい顔が一瞬私を不安にさせた。

何でそんな風に思ったんだろう………




もう二度と会えなくなるかも

…なんて思うなんて




私、浮かれすぎてちょっと離れるのが寂しいだけなんだ…

そんな風に片付けて私は社会科室へと向かう…

もっと真剣に考えればよかった。

だって…その不安は当たることになる



私はもう二度と今のままで寒河江と会う事は無くなるのだから

私は寒河江の決意に気付くべきだったのだ

寒河江が私の為にどんな思いでいてくれたのか…





私達はそれぞれ確実に終焉へと一歩一歩歩いていた…





最後とは知らずに
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