消えた同級生【玩具の女編】



……自分が水の中にいることに気付いた。

暗い底にグイグイ引っ張られる様に沈んでいく…

やがて暗闇に小さな光があるのが見えた。

あの小さな岩場に、光る箱を持った蒼湖がいる

「蒼湖!」

私は急いで岩場に駆け寄り、蒼湖の正面に立った

「本当はここに来てはいけないのに…ごめんなさい。時間を稼ぐためには、これしか思い付かなかった。
…あなたがもっと辛い想いをしてしまう危険があるのに…」

相変わらず蒼湖は下を向いていて表情を見る事はできない

「知りたいの!蒼湖の事を全部!知らなきゃ蒼湖の事助けられないから…辛くてもいいから教えて!」

「この箱を開けたら、あなたは今よりもっともっと苦しむことになるんだよ?」

「でもそれは蒼湖も経験したことでしょ?だったら分けて!
それに、私はもう大丈夫!ひとりじゃない、彼が…寒河江がついてるから…」

「緋色?」

「そう!」

「あの人は…笑ってる?」

「うん!満面の笑みをくれるよ」

「…そう…あなたも緋色も幸せなんだね…」
< 287 / 369 >

この作品をシェア

pagetop