消えた同級生【玩具の女編】
……自分が水の中にいることに気付いた。
暗い底にグイグイ引っ張られる様に沈んでいく…
やがて暗闇に小さな光があるのが見えた。
あの小さな岩場に、光る箱を持った蒼湖がいる
「蒼湖!」
私は急いで岩場に駆け寄り、蒼湖の正面に立った
「本当はここに来てはいけないのに…ごめんなさい。時間を稼ぐためには、これしか思い付かなかった。
…あなたがもっと辛い想いをしてしまう危険があるのに…」
相変わらず蒼湖は下を向いていて表情を見る事はできない
「知りたいの!蒼湖の事を全部!知らなきゃ蒼湖の事助けられないから…辛くてもいいから教えて!」
「この箱を開けたら、あなたは今よりもっともっと苦しむことになるんだよ?」
「でもそれは蒼湖も経験したことでしょ?だったら分けて!
それに、私はもう大丈夫!ひとりじゃない、彼が…寒河江がついてるから…」
「緋色?」
「そう!」
「あの人は…笑ってる?」
「うん!満面の笑みをくれるよ」
「…そう…あなたも緋色も幸せなんだね…」