消えた同級生【玩具の女編】
殺してしまいそうな感覚と、麻薬なんか使った私を見られたくなかった

何をされても、きっと緋色を殺す妄想に行き着く

私は自分の手を縛るように、俯せで堪えた



犯罪だ、死んでも生き返らない、いつか終わる、

頭の中でもう一人の私の説得に耳を傾け続けた



一晩戦い続け、私の精神は疲れ切っていた。

そのまま眠りに就けそうなほど、疲れた…

「蒼湖、ゆっくり休めよ。旨い物、作るからな…」

優しく覗き込む緋色を、私は見つめて頷いた。

大丈夫…もうすぐ薬が抜ける…

帰ってくる頃には、私はこんな事から解放される…

大丈夫…大丈夫…

私は静かに目を閉じた。



緋色を殺してしまえば、もう二度と会えない

私はひとりぼっちになって、犯罪者だ

大丈夫、まだ何も緋色から聞いてない

自分の気持ちを正直に伝えよう…

やっと私の気持ちが落ち着いてきた頃、チャイムが鳴った

…緋色?

ご飯って、お昼だったんだ…

私はもたつく足で玄関を開けた。

しかし、今度は顔を見る前に腕に痛みが走った
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