消えた同級生【玩具の女編】
何で死んだのに現れないの?

私が辺りを見回しても誰もいない…

まるで舞台の上でスポットライトを浴びているかのように、私が動くとその周りだけが見える。

部屋中を探しても、緋色は何処にもいない

「…緋色、どこ?…」

「何処にもいないよ…」

そう言われて振り返ると、少し離れたところに淑ちゃんが立っている

「淑ちゃん…」

すると淑ちゃんの周りがうっすらと見え、そこが学校の教室だとわかる。

「寒河江はもういないよ…」

「どうして?どこにいるの?」

「もういないの…諦めな」

「そんな!さっきまでいたのに…」

「もうどこにもいないよ…」

そう言うと、淑ちゃんは振り向いて暗闇の中に消えていった

私はざわつく校舎を必死で探し回ったけど、緋色は見つからない…

どこ?どこに行ったの?

「寒河江君の事は忘れなさい!」

私は振り返ると、そこにはお母さんがいた

「お母さん…」

「蒼湖、さあお家に帰りましょう…悪い夢でも見たと思って…」

お母さんはニッコリ笑って手を差し出した。
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