消えた同級生【玩具の女編】
「待って!緋色に会わなくちゃ…勝手に帰れないもの…」

「彼はもういないのよ…忘れなさい」

「ダメなの…まだ、伝えてないの!」

私が言うと、お母さんは呆れたようにため息をついて、また暗闇へと消えてしまった。




緋色…どこなの?






私が暗闇を探し回っていると、遠くの方から緋色の声が聞こえてきた

「緋色!?」

まるでトンネルの中にいるように、遠くから眩しい光が早いスピードでやってくる。



蒼湖…、蒼湖…



私を呼ぶ甘い声が光りの中から聞こえてくる

「緋色…」

光の中は温かくて心地よくて、私はやっと安心できた

緋色はここにいる…



蒼湖、愛しているよ…



緋色…




しかし、またトンネルに入ってしまったようにすぐに真っ暗闇に覆われた。








光は瞬く間に通りすぎてしまった…
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