消えた同級生【玩具の女編】
ああ、そうか…

私達、もう同じ世界に住むことは出来ないんだ…

彼を殺すか、私が死ぬか

私はガラスに手をかけて、楽しそうに笑っている緋色を見つめた

これでいいんだ…、彼が存在する世界はこんなにも輝いていて、何より緋色が笑っている

私が1番大好きな顔で…

これでいい、これでいいんだ

彼の世界に私はいなくても、仕方ない…



私の頬に大粒の涙が溢れる

彼のいない世界は暗闇だったけど、彼のいる世界はこんなにも輝いている

私がいらないんだ…

私もいらない…、あんな世界なら

緋色がいつまでも笑っていられる世界

私が…



私が望む世界……








そう結論が出た瞬間、私はまるで覚醒したかのように現実に帰って来た

私はただ玄関に座り込んでいた。
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