消えた同級生【玩具の女編】
大好きなの…


愛してるの…


あなたが違う人を選んでも、私は緋色の笑顔が大好きだから…

あなたが幸せな世界を望むから…

私は、私よりあなたを選ぶね…

だから幸せでいて…



緋色の寝息が聞こえてきた…

私はお風呂場で、自分の手首にカミソリを当て強く引いた。

皮膚の切れる痛みは、心の痛みに比べれば大したことない

私は疲れ切っていたから、すぐに安らかな暗闇に覆われた。

これで楽になれる…

大切な人をこの手で殺してしまう苦しみから解放される

私は静かに目を閉じた




「…湖、蒼湖!」

緋色の声が聞こえて、私は目を開く

緋色?どうして泣いてるの?
幸せになれるのに…

私がいればなれないのに

「どうしてこんな事!」

どうして?これ以上あなたを殺したくないの…あなたを失いたくないの…

「だったら殺せば良かったんだ、そんなに憎いなら…」

憎い?違うよ…大好きだよ。

私より…

ただあなたの笑顔が大好きなだけ

もう、大丈夫…あなたは幸せになれる

光り輝く世界で、楽しそうに笑うあなたを見て来たの

だから…




「生きて…」
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