消えた同級生【玩具の女編】
「あ、あのおはよう…」

顔にかかる髪を手で押さえながら、私はそこにいた相手に驚きながら挨拶をした。

寒河江だった…

「あの、いっつもこんなに早いの?」

聞こえてないのか、無視してるのかわからないけど、返事はなく、荷物を置いて机に座った。

私はどうしていいかわからず、またグランドの方を向き直った。

き、昨日聞いたこと、聞かなかった事になんてできない!

突然好奇心の虫がざわざわし始めて、私の頭の中は寒河江に対する質問がぐるぐると渦巻きし始めた…

今なら、二人きりだし、聞いたら何か答えてくれるかも…

私は1番聞きたかった事を勇気を出して聞くことにした


おもいっきり振り向いて、一息で話した。

「寒河江君って、蒼湖の事好きだったの!?」

精一杯の勇気だった。



しかし、振り返ったときは誰もいなかった…


「って、一人かよ!」

何よ……すごい頑張った私、馬鹿みたいじゃん…

気がすっかりしぼんで、私は大人しく勉強を始めた。
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