消えた同級生【玩具の女編】
太門は軽く笑って、また空を見上げる

「星子を説得して、蒼湖の催眠に入った。今までの記憶を思い出さないように、きっちりと作り上げた。

俺は碧依と名付け全く逆の家庭環境、父子家庭に育ち、おおざっぱな父親の元でおおらかに育つ娘。

子供の頃から格闘技を習い、高校に入ってから父親の仕事の手伝いを始める。恋愛なんか知らない

…母親も彼氏もいない、明るい前向きな少女…」

太門は金網に寄り掛かりながら、少し微笑む

「何ヶ月もかかった…聞いてるのか聞いてないのかわからない少女に、一日中写真や資料を見せながら催眠をかける…

気が遠くなる話だ…

だけど、ある日…見舞いに行った俺を、『お父さん』と呼んだんだ…

半年くらい経った時だ」


半年、俺らが高校になったばかりの梅雨の頃…

俺と蒼湖の関係が始まった、一年後くらいの時…
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