消えた同級生【玩具の女編】
「あとは、お前の知ってる通り、しばらくよそで慣らしてからここに帰って来た訳だ…」

「記憶が戻ることはあるんですか?」

「知らね。…あいつが初めてだからな…復活したのは…

だけど、思い出したら廃人に戻る可能性だってある。無理矢理封印してるだけだからな、いつか思い出すかもしれない…

その時どうなるかは、俺らにはわからない

大人ってのは、危険な橋を渡りたがらないもんだ。今碧依が幸せなら、揺らさないで欲しい」

「つまり、話すなと?」

「そうだ…、俺は今幸せなんだ。星子が居て碧依が居る。出来ることなら、このままにしておいてほしい…」

「………ただ、碧依の中で何かあるんだ。アイツは蒼湖と対話している…
蒼湖を解放するって頑張ってる…もしかしたら…」

その時突然寒河江が校舎を振り向いた。

「…碧依!?」

「何だ?」

「あんたには聞こえなかったのか!?」

「…いや、何も…」

「今、碧依の声が…」


私は死なない…


「碧依!!!」

寒河江は突然走り出した。

「お、おい!」

太門も後を追う…最期の場所へ
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