消えた同級生【玩具の女編】
幸せで幸せで何度もこのまま時が止まればいいと思った。

ずっとこうしていたいよ、緋色

愛されて抱かれることがこんなにも満たされることだったなんて

こんなにも幸せになるなんて



緋色が最中に私の耳の後ろを鼻で擦り、首筋を鼻と額でなぞったから、私は可笑しくなって思わず吹き出した。

振り向いて緋色と見つめ合いながら笑って、そして緋色を強く抱きしめた






「…大丈夫か?」

「うん…、また明日学校で!」

私は日曜の夕方、心配顔の緋色に見送られながら家に帰った。

私の中にたくさん緋色を詰め込んで





太門さんも、お母さんも緋色が私を説得するのをわかっていたみたいだ

私だけが子供だった

だって、この時は知らなかったけど太門さんと緋色は未来の約束をしていたんだから…

いずれ一緒になるんだから、今は家族で。

そんな想いが込められていることを、私が知るのはずっと先の事になる。

私は2学期いっぱいで転校する事になった。

最後は12月22日。どんな運命か終業式はこの日で、23日の夜の新幹線で私はこの街を去らなければならなくなってしまった
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