消えた同級生【玩具の女編】
私は夢中で写真を見ていた。

あれ?

ふと一枚の写真に目が留まり、めくる手が止まった…

…蒼湖が笑ってる…

文化祭の写真だった。

悲しげなのは残ってるのに、何て言うのか…お母さんみたいな優しい表情で笑ってる。乗り越えたとも吹っ切れたとも言えないけど、優しい顔…。

…何かあったんだろうか?暗い中に何かが…

「上野!!」

びくっとして席を立った。

「転校早々、上の空だな。そんなんで授業について来れるのかー?」

数学教師は小太りのブサイクで、肌荒れがひどくてキモチ悪い奴だった…。これで嫌味なんだから、救いようがない…

「…すいません…」

「ここに来てこの問題やってみろ」

しぶしぶ教科書を持って前へ歩いた。

チョークを持って問題に向かう…。なんだこれ?わからないぞ…

しばらく手を止めていると、クスっと馬鹿にした笑いが横から聞こえた。

「こんな問題もわからないクセに、俺の授業を聞かないとはいい度胸だな…。どうせお前の妹同様、男の事でも考えていたんじゃないか?」
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