消えた同級生【玩具の女編】
ご飯を食べた後、私は緋色の手を引いて、裏道を進んだ
「おい、碧依…、お前こっちは…」
私は裏通りに緋色を引きずりこんだ
そう、ホテル街に
「お前…」
私は何か言われる前に、キレイ系のホテルに緋色を連れ込んだ
「だって…今日が最後なのに…」
「お前はいいの?最後のデートに、行きたい所とか、したいこととか…」
「ない!緋色でいっぱいになるのが、私のしたいことだもん!」
「…バカだな…最初から言えば…どっかリッチな所予約したのに…」
そう言うと緋色は強く抱きしめてくれて、私達は最後に何度も何度も愛し合った。
忘れないように、この温もりを、緋色を、全部を私に詰め込んで大事にしたいから
いつも傍にいるって思いたいから…
重い足を引きずって、プラットフォームを歩く
「風邪引くなよ」
「緋色も」
「勉強しろよ」
「緋色も」
「浮気すんなよ」
「緋色も」
「しねーよ」
何か話さなきゃ…そう思うのに…
「電話するよ」
「うん」
「メールする」
「うん」
ダメだ、涙が…
ドアの内側に入ると、プルルルルと発車のベルが鳴った