消えた同級生【玩具の女編】
「先生!私、前の学校で同じ様な人を見たことがあります。この人達が悪いんじゃありません!麻薬の一種らしいんです…。」

小声で誰にも聞こえないように囁いた。教師は眉間にシワを寄せ、信じられないというような目で私を見た。

「保健の先生に相談して、警察に連絡を。詳しい話は私の父が専門です。大丈夫、大事にはしませんから!ちゃんと調べてください、他の生徒の為にも…」

教師はとりあえず頷いた。

「君はずいぶん無茶をする。正義の味方なのかもしれないが、いつか怪我をするぞ!気をつけなさい」

私はにこりと頷いた。



二人の生徒が連れていかれ、残った生徒がガラスを片付けたりしている。私は寒河江を探したけどもうどこにもいなかった。

助けられたのかな…

考えているとポンと肩を叩かれた。

「上野さん?俺、加賀美。中三の時如月と同じクラスだったんだ」

私は黙って頷いた。

「寒河江さんなら、行っちゃったよ。あの事件以来、誰も寄せ付けなくなっちゃったんだ…。
昔はあんなに皆に慕われていたのに…」

遠くを見るように呟いた。

「俺も、さっきの奴と同じで、あの雨の日、如月の事閉じ込めたんだ。」
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