消えた同級生【玩具の女編】
彼は私の予想もしないような場所にいた…




図書室だ。



私は机に向かって勉強している寒河江の向かいに座った。

彼はそれをチラリと見て、また勉強を始めた

「さっきはありがとう。今日は助けられてばっかりだね。」

小声で御礼を言う。

でも寒河江はまるで聞こえなかったかのように、変わらずシャーペンを動かしている。

「ねえ、聞いてるの?私はお礼を言ってるんだけど!」

ムカッときて寒河江の教科書をバンと叩きながら、少し大きい声で話した。

その瞬間寒河江と共に、周りの数人にまで冷たい視線を送られてしまう…

私は亀みたいに首を引っ込めた。

「お前ここ何処かわかってんのかよ!迷惑だからさっさと出てけよ!」

冷たい目線と小声が突き刺さった。

「あんたが、私の話に答えてくれたら出ていくよ!だから教えてよ、蒼湖に何があったのか…」

「お前、そんな事いまさら聞いてどうすんの?俺を捕まえたいのか?それともただの興味本位か?どっちにしたって、話す気なんて更々ねえよ。」

頑なだな…

寒河江は目線を教科書に移して再び勉強を始めた。



「…知りたいのよ、真犯人を…」
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