消えた同級生【玩具の女編】
寒河江の手がぴくりと動いて止まった。

「知りたいだけよ、蒼湖を追いつめた本当の人間を。だからあなたが見た全てを教えて…」

私は寒河江を睨み付けた。

寒河江は驚いた表情でゆっくり私の方を向いた。

「お前、何言ってるの?あいつを追いつめたのは俺だぞ?散々好きに扱って、逃げないように脅した結果があれだぞ?」

「じゃあ、蒼湖は自殺する日、おかしくなかった?なんかをつぶやいたり、おかしな行動をとったりしなかった?」

寒河江の眉がぴくりとあがった。

「ある日突然、変にならなかった?」

「な、なんでお前がそれを知ってるんだ…?」

寒河江の表情から、それは間違いなく真実だということがよくわかった。

既に二人の会話は小声ではなくなっていた…

「あんたが原因なら、ずっと前にどうにかしてたよ。突然変わらない。誰かが突発的に変えたんだよ。蒼湖は誰かに無理矢理…」

そう言いかけて止めた。あの薬の事を話さなければならなくなりそうだったから…

「とにかく、これ以上は交換条件だよ。あんたの記憶と私の情報!」

「…わかった。場所変えよう…」

寒河江は教科書をかばんにしまい込んだ。
< 49 / 369 >

この作品をシェア

pagetop