消えた同級生【玩具の女編】
「じゃあ、私おごるよ!昨日駅前の店教えてもらったから、そこで!」

「ああ、あの店…。っつーか、別におごられなくていい。女に金だされんの好きじゃねーし…」

「遠慮しなくていいよ!私今日は金持ちなんだ。私が聞きたいって言い出したんだから、素直におごられろ!」

「金持ちって。じゃあ、財布に金が多く入ってる方がおごりでいいだろ?」

「よし、どんとこい!」

奇妙な光景だろう…、あの事件で有名な寒河江と、自殺した人間によく似た転校生が、図書室の入口前で財布の中身を数えているなんて…

「よし来た!8千円!」

「…7万4千円…」

「はあ?なんで高校生が7万4千円も持ってんの!?」

「お前、そんな金額じゃ胸張って金持ちなんて恥ずかしくて言えねえだろ?
ばかじゃねえの?」

横目で少し寒河江が微笑んだ。

うそ…

…私は驚いて釘付けになった!

だってあまりにもカッコ良かったから…

いつかのあの写真が頭をよぎる


「ほら、行くぞ」

「あ、うん…。すいません、今日はごちそうになります」
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