消えた同級生【玩具の女編】
先に歩く寒河江について行った。

私はさっきの笑顔をずっと反芻していた。

どうせ自習の学校を抜け出し、二人で駅前まで歩いてた。

さっきの笑顔がどうしても忘れられない…

「寒河江さ、なんで椅子飛ばしたの?」

「…確実だろ?」

赤信号で止まったとき、この話になった。

「だって、下手したらどっちかに当たるかもしれないじゃん!」

「絶対真ん中を通す自信があったんだよ。でなきゃ投げねえよ」

ちらっと反対の信号を見ると黄色に変わった。
私は青になるタイミングを見計らって、前に進みながら話を続ける。

「どっからそんな自信が…」

「おい!!」

急に腕を引っ張られて肩が寒河江の胸に当たる。

え?えぇ!?

心臓がバクバク音を立てた。

「お前、ばかか!?あっちは補助信号だろうが!よく見ろよ!」

「え?」

車道を見ると右折車と直線車が通っていた。

あ、危うく轢かれるところだった…。

「ごめん…」

周りの人が一気に歩き始めた。私は腕を離され、前を歩いていく寒河江にまたついて行った。

いままでこんな失敗したことないのに、なんで?
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