消えた同級生【玩具の女編】
「…公立に転校する…。前にお母さんに薦められたし。もう二度とこの学校には来ない!安心していいよ。私、もうあなたの前に姿を現さないから!!」



「…やっぱりお前は甘いね。そうなったら俺は困るなー。新しいおもちゃが無くなるなんて…」

ぐいっと腕を引かれ、寒河江の方を向かされる

「当分俺のおもちゃになれよ、蒼湖。」

私は力いっぱいその手を振り払った

「二度と近づかないで!忘れるから。こんな事、記憶から消し去るんだから!」

私は走って扉を開けた


いつの間にか鍵は開いていた…





家に帰って急いでお風呂場に駆け込み、体中を何度も洗う

寒河江の香水の匂いや、寒河江の残していったものを全て流し去りたかった



布団に潜って大粒の涙を必死に止めようとしながら、何とか忘れようとした

学校にも行かなかった



身体の震えが止まらない…トイレに行くのも怖い!!

出血したらどうしよう

傷が膿んだらどうしよう

妊娠したら…

そんな事ばかりが頭を駆け巡って



転校しよう…逃げよう…



怖い…自分がどうなるのか…



ただただ、不安だった…







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