消えた同級生【玩具の女編】
そうだ、怒る権利も、何かを言う権利も、私には何もなかった。

諦めなきゃ、全部を…




午前はクラスに戻りづらく、保健室で休んでいた。

お昼のチャイムが鳴り、とぼとぼと教室に戻る…

「蒼湖、大丈夫?」

淑ちゃんが廊下で待っていてくれた。

「うん、あと二時間だし。大丈夫だよ」

力無く笑った。

「蒼湖、ホントにあいつと?」

心配した瞳で何かを訴えていた。

…ごめんね、淑ちゃん…。私何も言えないよ…

「うん、片付けを手伝ってもらって、話をしたら和解したの。そうしたら、昔の気持ちが戻ってきて…」

私は寒河江に合わせて話した。

真剣な淑ちゃんの目を見ることはできなかった…

「だってあんなにひどい目に遭わされたんだよ?」

淑ちゃんはごまかしきれない…

私は淑ちゃんを真っすぐに見つめた…

「お願い…これ以上何も聞かないで…」

「え?」

「お願い!何も聞かないで!私は大丈夫だから…」

「蒼湖……」

「何かあったら、ちゃんと相談するから…」

「ちゃんと言ってくれる?」

「うん」

「わかった…。体だけは大事にしてね。」

「うん」

私は笑うしかなかった。
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