消えた同級生【玩具の女編】
どうしよう…怖い

心臓が苦しくなり、手の震えを押さえ目をつぶった…

もう初めてじゃないから、きっと大丈夫…

固く閉じた目の中で自分に言い聞かせる。

しかし寒河江は全く近づいて来なかった。




やがて幸せそうな寝息が聞こえてくる

私は固くしていた身体を緩め、ゆっくり振り向いた。

そっと近づき寒河江の寝顔を覗き込んだら、すやすやと気持ち良さそうに眠っている…

私はホッとして力が抜けた。

寒河江の寝顔…、この距離…昔どんなに願ったんだろう…

別に身体の関係になりたいとか考えた事は無かったけど、彼の特別になりたかった…

自分だけに見せてほしい姿があった

でも今は……

私はまた壁に寄り、寒河江に背を向けて目をつぶった

寒河江が寝返りをうつ度に、私は緊張してしまい結局明け方まで眠れなかった。

寒河江は私に指一本触れなかった





次の日も、その次の日も、寒河江は私に触れなかった。
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