消えた同級生【玩具の女編】
「ヒッ!」

全員がさっと手を離し、私は水から離れることが出来た。

その時支えてくれたのが淑ちゃんだった。

「もう大丈夫だよ」と耳元で囁いてくれる。

正面には女子トイレなのにも関わらず、寒河江とクラスの男子が数人いた。


「ごめんなさい…私、違うの…この子が…」

「俺の物になに勝手に触ってんだよ!」

「ヒーロ…違うの…」

「お前マジでうぜえ!勝手に俺の女づらするのやめろよ!…何回かやっただけで付き合ってねーじゃん。体だけだろ?
…消えろよ、俺の前から…。」

その言葉に、泣きながらアスミは飛び出し、仲間もつられて出て行く。

寒河江が自分の仲間に何かぼそぼそと話し、彼等は目を輝かせてアスミを追いかけて行った…

「あいつはアバズレだから」とか「写真を撮ればバレない」とか聞こえたけど、それ以上は深く考えないようにする

…きっとろくな事じゃない…

淑ちゃんは髪を丁寧に拭いてくれている。

「教えてくれてサンキューな、園田…」

「蒼湖の為だよ!大体原因はあんたなんだからね!もうちょっと身辺整理しなさいよ…」

「大丈夫、もう手出しさせないように手は打ったから」
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