消えた同級生【玩具の女編】
「あ、あの…」

私は怖くなり後ろの壁まで後退りした。

「わりぃけど、便所!」

え?


寒河江は、私を怒ったり慌てることなく、やんわりと追い出した。

「言っておくけど、探し物はお前がどんなに探しても見つからないぜ。諦めてさっさと寝ろよ…」

勝ち誇った様に笑いながら、寒河江は私の頭にポンと手を置きトイレの扉がゆっくり閉まった…



暗い廊下で私は途方に暮れた……

寒河江は私が探していることを知っていたんだ。

それでも私を放っておいたのは、見つからない自信があるから…

絶対探せない場所にあるんだ…



だめなんだ……勝てない



私は探すことも諦めた。大人しくこのまま飽きられるのを待つしかない…



一緒に住んでいるだけで何もないんだから、きっともうすぐだ…



もうすぐ私は飽きられる



私はそう考えていた








やはり私は甘かったんだ…
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