見栄っ張り症候群【完】
なんて言えば、この人は私を好きになってくれるの?
どうやったら私と同じようにドキドキしてくれる?
キュン死にさせる気? そういうキャラじゃないでしょう、私もあんたも。
トータは急に、とってもかっこ良くなる。
いつも優しければいいのに、とも思うけど、たまにがいい。たまにでいいの。
はあー、っと力ないため息を吐いて、
「十分に決まってるじゃん、これで」
精一杯の感謝の気持ちを伝えた。
花火の音がうるさいから、トータにちゃんと伝わったかどうかは不明だけど。
伝わらないなら伝わらないで、それはそれでありだと思う。
激しかった花火ラッシュは徐々にだけど確実に、終息へ向かっていて、最後の一発、大きなそれが打ち上げられた時には
「うわあ……綺麗」
最初と同じように、感嘆の声が上がった。
それに感動したのはもちろん私だけじゃなくて、そんなに遠くない方向から楽しそうな笑い声や、拍手が上がっている。
釣られて手を何度か叩けば、
「やっぱ子供だな」
トータに悪戯っぽく笑われた。