私の彼氏



そんなことを思い出していると


八木先輩の声が聞こえた。




「お前は優しい奴だよな」



「…は?」






八木先輩に言われるとか


嫌味すか





「いやいや、まじで。」





笑いながら言うとか


説得力ないっすけど





「優しいのに、強い」





「…はぁ。」





「けどお前の悪いとこは
優しすぎて自信がないとこ」




「…はぁ」




いきなり何言い出すんだ?





「ふっ、意味分かってねーだろ?」




「…はい。」




「お前はチームメイト思いだ。
後輩の面倒見もいいし。」




「いや、それは次期キャプテンとして当たり前だと思いますけど…」




「ほら、そういうとこ。
本当に優しい奴はこういうとこでえばらない」




そんなの八木先輩だって

えばらないでしょ




「お前は次期キャップだから後輩の面倒みてんのか?」



「いえ。」




そうじゃなくても

後輩の面倒はできる限り見てやりたい。





「そ、お前は次期キャップだからがんばってるんじゃなくて
お前ががんばってるから次期キャップなわけ。」




あ…そっか。




「納得か?」






そこには八木先輩の

暖かい笑顔。





「…はいっ!」



「よろしい」



そう言って俺の頭をがしがし撫でる。
< 18 / 197 >

この作品をシェア

pagetop