吸血鬼が幽霊になって何が悪い!


「困ったものだ」
頭を掻きながら立ち尽くす。


狭い路地、犬を跨がないと前には進めない。引き返すことも可能だが、喉の渇きはできるだけ未然に防ぎたい。


しかたない。


目を見開き、感情を一時的に破棄し、眼球に力を込めて真っ赤に充血させた。


「犬が怖いの?」と言ったあとでクスクスと笑い声がもれた。


おれは目の充血をやめ、振り向く。


「おれに向かって言ったのか?」

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