吸血鬼が幽霊になって何が悪い!
「一々そんなことを気にしてもしょうがないだろ」
執行官に付き合っている暇はなく、早歩きをする。
「おまえも嘘をついてる」
「なんだと?」
足を止め、振り向く。
「君は死を恐れている」
「吸血鬼のおれが死を恐れているだと?」
自然と眉が厳つくせり上がる。
「違うのか?」
「すでに現実の世界で、吸血鬼として爪痕を残してきたおれは、死など恐れない」
「悔いがないから死を選ぶのか?」執行官は腕組みをして「だったらすぐにでも死を選択してもらいたいものだ」と困り顔をする。
「おまえの言いなりにはならない」
捨て台詞を残し、執行官に背中を向けた。